編集デスク ゲーム攻略ライターの石川カンナです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、2025年11月4日に発売される待望の新作『ゼルダ無双 封印戦記』が、なぜNintendo Switch 2(以下、スイッチ2)限定での発売となり、一部では「販売数量が爆死確定」とまで言われているのか、その理由が気になっていると思います。
私も『厄災の黙示録』は本当にやりこみましたので、あの壮大な戦いの続きが「正史」として描かれると聞いて、とても興奮しています。 それと同時に、「スイッチ2が手に入らないと遊べないの…?」という不安なお気持ちも、本当によくわかります。
この記事を読み終える頃には、『ゼルダ無双 封印戦記』がなぜスイッチ2限定という道を選んだのか、そしてそれが販売面でどのようなデメリットや懸念を抱えているのか、その疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- スイッチ2限定販売という非常に高いハードル
- 1億4千万台を超える初代スイッチ市場の切り捨て
- 次世代機でしか実現不可能なゲーム体験の追求
- 「正史」を遊びたいファンが直面するジレンマ
『ゼルダ無双 封印戦記』が「爆死確定」と囁かれる背景
待望の新作発表に湧いたのも束の間、SNSやゲームフォーラムでは「スイッチ2独占」という発表に対して、期待と同時に不安や懸念の声が多く上がっているのが現状です。
私自身も、攻略ライターとして多くの新作を見てきましたが、これほどまでに「遊びたい」という声と「遊べないかもしれない」という声が同時に存在するタイトルも珍しいと感じています。 なぜ、あれほどまでに評価の高かった『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(ティアキン)』の「正史」を描くという、これ以上ないキラータイトルが、「爆死確定」とまで揶揄されてしまうのでしょうか。 まずは、その理由、つまりスイッチ2限定販売がもたらす「デメリット」の部分を、一つずつ丁寧に解きほぐしていきましょう。
最大の理由:Nintendo Switch 2の普及台数問題
これが最もシンプルかつ最大の理由であることは、誰の目にも明らかですよね。 『ゼルダ無双 封印戦記』の発売日は2025年11月4日です。 スイッチ2本体の発売(2025年3月と仮定した場合)から、まだ1年も経っていない、まさに「ロンチ期(発売初期)」と呼ばれるタイミングでのリリースとなります。
新しいゲーム機が発売された時、皆さんはすぐに購入されるタイプでしょうか。 それとも、少し様子を見て、遊びたいソフトが揃ってから…と考えるタイプでしょうか。 多くの方は後者、あるいは「欲しいけれど、初期不良が怖い」「価格がもう少し落ち着いてから」と考えるのではないでしょうか。
ゲームソフトが売れるためには、大前提として「そのゲーム機を持っている人」が多くなければなりません。 発売から8ヶ月程度では、スイッチ2がどれほど魅力的であっても、世界中で数千万台、数億台と普及しているはずがなく、物理的に『封印戦記』を購入できるお客さんの「母数」が、圧倒的に少ない状態なのです。 これが「爆死」という不名誉な言葉が使われてしまう、最大の要因です。
1億4000万台超え! 初代スイッチという巨大すぎる市場
では、もし『封印戦記』が初代Nintendo Switch(以下、初代スイッチ)でも発売されていたら、どうなっていたでしょう。 初代スイッチは、2024年末時点で全世界での累計販売台数が1億4,000万台を超えているとされています。 これは本当に驚異的な数字です。
前作にあたる『ゼルダ無双 厄災の黙示録』は、2020年11月に発売されました。 この時、初代スイッチはすでに発売から3年半以上が経過し、一家に一台、あるいは一人一台というレベルで普及が進んでいた時期です。 だからこそ、『厄災の黙示録』は「ゼルダの無双」という、本編に比べればスピンオフ的な立ち位置でありながら、全世界で400万本以上という大ヒットを記録できたわけです。 この400万人の「厄災の黙示録ファン」のほぼ全員が、今も初代スイッチを現役で遊んでいると言っても過言ではありません。
それなのに、『封印戦記』はスイッチ2限定。 つまり、任天堂と開発のコーエーテクモゲームスさんは、自ら**「1億4000万台の市場を捨て、発売初期の数百万人(あるいはもっと少ないかもしれない)市場を選ぶ」**という決断をしたことになります。 ビジネス的に見れば、これは極めて異例であり、「売上本数を限定してしまう」デメリットしかないように見えます。 この巨大な機会損失こそが、「爆死確定」と言われてしまう二番目の理由です。
スイッチ2本体の高価格がもたらす買い控え
新しいゲーム機、特にスイッチ2のような高性能が噂される次世代機は、その価格設定も大きな関心事ですよね。 初代スイッチは、その革新的なコンセプトに加えて、約3万円という「お求めやすさ」も、爆発的な普及を後押しした要因の一つでした。
しかし、スイッチ2は、NVIDIA製の最新チップを搭載し、DLSSやレイトレーシングといった最新のグラフィック技術に対応すると言われています。 これはつまり、製造コストが初代スイッチとは比較にならないほど高くなることを意味します。 市場の予測では、最低でも4万円台後半、もしかしたら5万円を超えるのではないか、という声も根強くあります。
『封印戦記』を遊ぶためには、ソフト代(約1万円と仮定)に加えて、この高額なスイッチ2本体(約5万円と仮定)を「同時に」購入しなければならないのです。 合計6万円という出費は、いくら『ティアキン』の正史が気になっても、そう簡単に出せる金額ではありません。 「ソフトは欲しいけど、本体が高すぎるから今は見送ろう」 「年末のボーナスで…」「来年、他に欲しいソフトが出たら…」 こうした「買い控え」が大量に発生することは容易に想像がつきます。 これもまた、販売本数が伸び悩むと予測される大きなデメリットです。
「無双」はハードを牽引できるか? ジャンルの特性
少し厳しい言い方になってしまうかもしれませんが、「無双シリーズ」というジャンルの特性も関係しています。 『スーパーマリオ』の完全新作、『ポケットモンスター』の本編新作、あるいは『ゼルダの伝説』の本編(例えば『ティアキン』の続編)であれば、それ一本のために新しいハードを買う、という「ハード牽引力」が絶大です。
では、『ゼルダ無双』はどうでしょうか。 『厄災の黙示録』は素晴らしいゲームでしたし、私も大好きです。 ですが、「無双」というジャンルは、良くも悪くも「スピンオフ(派生作品)」という側面があります。 『ティアキン』の物語の根幹に関わる「正史」を描くとはいえ、「アクションのジャンルが本編と違うなら、無理してまでハードごと買わなくてもいいかな」と考えるライト層のゼルダファンも一定数いるはずです。
任天堂さんとしては、この『封印戦記』を、スイッチ2の初期の売上を牽引するキラータイトルの一つとして位置づけているのは間違いありません。 しかし、その牽引力がマリオやポケモン級にあるかと言われると、少し疑問符がつく。 これもまた、販売予測を立てる上で懸念材料とされている点です。
『厄災の黙示録』ファンが遊べないというジレンマ
前作『厄災の黙示録』は、「if(もしも)の物語」でした。 『ブレス オブ ザ ワイルド(BotW)』の100年前に、もしも未来からのガーディアン「テラコ」が介入していたら…という、本編とは異なる運命を描いた作品です。 これはこれで、四英傑が全員活躍する夢のような展開で、多くのファンが感動しましたよね。
しかし、今回の『封印戦記』は、『ティアキン』で語られた太古の「封印戦争」を描く、**紛れもない「正史(カノン)」**です。 ラウルやソニア、そして初代賢者たちの壮絶な戦い。 『ティアキン』をプレイした方なら、誰もが「あの戦いをしっかり見てみたい」「操作してみたい」と思ったはずです。
つまり、『厄災の黙示録』で「if」を体験したファンほど、「正史」である『封印戦記』への期待は高まっているのです。 それなのに、そのファンたちが持っているのは初代スイッチだけ。 一番遊びたい人たちが、一番遊べない環境にいる。 この大きなジレンマが、ファンの間で不満や不安の声となり、「どうせみんな遊べないなら売れない(爆死する)」という論調につながってしまっているのです。
ロンチ初期の品薄・転売問題という懸念
これはゲーム内容とは別の問題ですが、現代のゲーム機発売には必ずと言っていいほどついて回る、深刻な問題です。 そう、**「転売」**です。
スイッチ2がどれほど魅力的なハードであっても、発売初期に製造できる台数には限界があります。 需要が供給を大幅に上回れば、必ずや転売業者の標的となり、店頭から姿を消すでしょう。 初代スイッチの時も、PS5の時も、私たちはその光景を嫌というほど見てきました。
『封印戦記』が発売される2025年11月になっても、スイッチ2が品薄で定価で買えない状況が続いていたとしたら? 「ソフトは買ったのに、遊ぶための本体がどこにも売っていない」 「転売価格で10万円もする本体なんて買えない」 そんな悲痛な叫びが聞こえてきそうです。 こうなると、ソフトの販売本数も当然伸び悩みます。 この「欲しくても買えない」という物理的な供給問題も、「爆死」という言葉を使いたくなる背景の一つと言えますね。
他社ハード(PS5/PC)マルチ展開なしの影響
コーエーテクモゲームスさんが開発する「無双」シリーズは、近年、PlayStation 5(PS5)やPC(Steam)など、複数のプラットフォームで同時に発売する「マルチプラットフォーム展開」が主流です。 グラフィック性能を追求したゲームであれば、PS5やハイエンドPCで遊びたい、というニーズも確実に存在します。
しかし、『ゼルダ無双』は任天堂さんが版権を持つタイトルです。 当然ながら、スイッチ2「独占」となり、PS5やPCで発売されることはありません。 もしマルチ展開されていれば、スイッチ2を持っていなくても、PS5やPCで遊ぶという選択肢があり、販売本数全体を底上げできたはずです。 しかし、その道は選べない(選ばない)わけです。 これも、販売本数が限定的になる要因の一つですね。
シリーズ作品の販売本数比較(推定)
| タイトル | 発売ハード | 発売時期 | 推定販売本数(全世界) | ハード普及状況(当時) |
|---|---|---|---|---|
| ゼルダ無双 (Wii U) | Wii U | 2014年 | 約100万本 | 普及初期~中期(苦戦) |
| ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ DX | Switch | 2018年 | 約150万本(※1) | 普及初期(好調) |
| ゼルダ無双 厄災の黙示録 | Switch | 2020年 | 約400万本以上 | 普及中期(絶頂期) |
| ゼルダ無双 封印戦記 | Switch 2 | 2025年 | ??? | 普及初期(ロンチ期) |
(※1:『ハイラルオールスターズ DX』はWii U版と3DS版の移植完全版であり、累計だともっと多くなりますが、Switch版単体での売上参考値です)
こうして表で見てみると、『厄災の黙示録』の400万本という数字が、いかに「初代スイッチの絶頂期」という追い風に乗った結果であるかがわかります。 『封印戦記』が置かれている状況は、むしろWii U版の『ゼルダ無双』に近いかもしれません。 あの時も、「Wii U本体を持っていないから遊べない」という声が非常に多かったのを思い出します。 『封印戦記』が、この「ハード普及初期」という逆風の中でどれだけ健闘できるのか。 これが最大の焦点となります。
なぜ任天堂は「爆死」のリスクを冒してまで「スイッチ2独占」を選んだのか?
ここまで、「爆死」と言われる理由、つまりスイッチ2独占がもたらす数々のデメリットについて詳しく見てきました。 1億4000万台市場を捨ててまで、なぜそんな無謀とも思える戦略を選んだのでしょうか。 それは、開発チームが**「初代スイッチでは絶対に実現不可能なゲーム体験」**を『封印戦記』に詰め込んだからに他なりません。 ここからは、提供された情報ソースも参考にしながら、なぜ『封印戦記』がスイッチ2でなければならなかったのか、その技術的な理由と、作品にかける情熱(メリット)の部分を深掘りしていきましょう。 この理由を知れば、皆さんも「それなら仕方ない…」と納得できるかもしれません。
『厄災の黙示録』が抱えた性能の限界
『厄災の黙示録』をプレイした方なら、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 そう、**「処理落ち」**です。
特に、インパの分身を大量に出した時や、四英傑の必殺技が炸裂して敵の大群を巻き込んだ時、あるいは2人協力プレイの時…。 画面がカクカクになったり、スローモーションのようになったりする現象。 あれこそが、初代スイッチの性能の限界でした。
「無双」ゲームの最大の魅力は、無数の敵をなぎ倒す「一騎当千の爽快感」です。 その爽快感が、ハードの性能限界によって阻害されてしまうのは、プレイヤーにとってこれ以上ないストレスですよね。 私も、「今、コンボを決めたいのに!」という場面でカクついてしまい、悔しい思いをしたことが何度もあります。
開発チームも、初代スイッチの性能と戦いながら、必死に最適化をしてくれたのだと思います。 しかし、彼らが本当に描きたかった「大厄災」の絶望的な物量や迫力は、初代スイッチでは妥協せざるを得ない部分も多かったはずです。 この「妥協」こそが、『封印戦記』で彼らが最も排除したかったものなのです。
スイッチ2独占の技術的理由(1) 処理落ちの完全解消
『封印戦記』がスイッチ2独占を選んだ最大の技術的理由は、この「処理落ち問題の完全な解消」にあると言われています。 スイッチ2は、そのCPU性能やメモリ(データを一時的に記憶する場所)の速度・容量が、初代スイッチとは比較にならないほど向上しています。
これにより、何が可能になるのか。 まず、画面に表示できる敵の数が、文字通り桁違いに増えます。 『厄災の黙示録』では、遠くの敵は表示されず、近づくと突然現れる(ポップする)現象がありましたが、スイッチ2では遥か遠くまで敵兵がびっしりと埋め尽くす、まさに「戦争」と呼ぶにふさわしい戦場が実現できるのです。
そして、どれだけ敵の数が増えようと、どれだけ派手なエフェクト(必殺技や爆発)が起ころうと、フレームレート(1秒間のコマ数)が安定して維持されます。 常に滑らかな映像で遊べるということは、プレイヤーの操作(入力)に対するキャラクターの反応(出力)が遅れない、ということです。 これにより、私たちはストレスなく、直感的にキャラクターを操り、コンボを叩き込む「爽快感」に没頭できるのです。 この「ストレスフリーな無双体験」こそ、開発チームがスイッチ2で実現したかったことの第一歩です。
スイッチ2独占の技術的理由(2) 圧倒的なグラフィック(DLSS/RT)
スイッチ2の性能向上は、グラフィック(映像表現)にも革命をもたらします。 特に注目されているのが、「DLSS」と「RT(レイトレーシング)」という二つの技術です。 ちょっと専門用語が出てきましたが、ゲーム好きならワクワクする言葉ですよね。
4Kレベルの超高精細化(DLSS)
DLSS(Deep Learning Super Sampling)というのは、簡単に言えば「AIの力を使って、映像をめちゃくちゃキレイに、かつ滑らかにする技術」です。 例えば、ゲーム機内部では少し解像度を落として処理を軽くしておきながら、AIが「ここは多分こうなっているはず」と高解像度の映像に補完してくれるイメージですね。 これにより、スイッチ2は、処理の重い4K解像度(初代スイッチのフルHDの4倍キレイ)に近い映像を、高いフレームレートを保ったまま出力できると言われています。
『封印戦記』では、この技術によって、『ティアキン』で見たあの美しいハイラルの風景、キャラクターたちの衣装の質感、岩肌の凹凸、水の流れなどが、驚くほどクリアに、そして高精細に描かれることになります。 『厄災の黙示録』も『BotW』のトゥーン調のグラフィックをうまく再現していましたが、解像度やテクスチャの粗さが目立つ場面もありました。 『封印戦記』は、そのレベルを遥かに超えた「画質体験そのものの変化」をもたらしてくれるはずです。
リアルな光の表現(レイトレーシング)
RT(Ray Tracing)は、「光の反射や屈折をリアルに計算する技術」です。 例えば、『ティアキン』の地底世界や古代のゾナウ遺跡を思い出してください。 アカリバナのぼんやりとした光、ゾナウギアが発する神秘的な輝き、あるいはマグロックが放つ炎…。 レイトレーシング技術を使えば、こうした光が、周囲の壁や水面にリアルタイムで反射し、臨場感あふれる空間を生み出します。
『封印戦記』では、初代賢者たちの属性攻撃(炎、雷、水など)が、戦場の環境にリアルな影響を与える描写が期待できます。 単にキレイになるだけでなく、「本当にその場にいる」かのような没入感が、スイッチ2のグラフィック性能によって格段に向上するのです。
スイッチ2独占の技術的理由(3) 容量44.9GBが示すコンテンツ密度
『封印戦記』のダウンロードに必要な容量は44.9GBと発表されています。 この数字がいかに大きいか、前作と比較してみましょう。
- 『ゼルダ無双 厄災の黙示録』: 約11.1GB
- 『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ DX』: 約12.9GB
- 『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』: 約16.3GB
なんと、『封印戦記』は、あの広大な『ティアキン』と比べても2.5倍以上、前作『厄災の黙示録』と比べると実に約4倍ものデータ量となっているのです。
この44.9GBという大容量は、何を意味するのでしょうか。 それは、ゲームのボリューム(ステージ数やキャラクター数)が単純に4倍になった、というだけではありません。 前述した「超高精細なグラフィック」を実現するためには、非常に高品質なテクスチャ(物の表面の画像データ)や、複雑な3Dモデル、滑らかなアニメーションデータが大量に必要になります。 さらに、ボイスデータやBGMも、圧縮せずに高音質なまま収録されている可能性が高いです。
つまり、この44.9GBという数字は、**「初代スイッチの性能に合わせてデータを削る、という妥協を一切排除した証」**なのです。 開発チームが、スイッチ2の性能と大容量ストレージをフルに使い切り、彼らが作りうる「最高品質のゼルダ無双」を提供しようとした結果が、この数字に表れています。
『ティアキン』の「正史」を描くための妥協なき選択
もし『封印戦記』が、初代スイッチとの縦マルチ(両方のハードで発売)になっていたら、どうなっていたでしょうか。 おそらく、開発チームは「初代スイッチでも動く」ことを基準にゲームを作らざるを得ませんでした。 つまり、敵の数を減らし、グラフィック品質を落とし、容量を『厄災の黙示録』と同程度(十数GB)に抑える必要があったはずです。
しかし、『封印戦記』が描くのは、あの『ティアキン』の根幹をなす、ハイラル王国史上最大の「封印戦争」です。 魔王ガノンドロフが率いる、ハイラル全土を埋め尽くすほどの魔物の大群。 それに対抗する、ラウルたち初代賢者の奇跡のような力。 この壮絶な物語を描く上で、初代スイッチの性能の限界から「敵の数を減らす」といった妥協をすることは、開発チームにとって許されなかったのでしょう。
『ティアキン』で私たちがムービーで垣間見たあの絶望的な戦いを、プレイヤー自身が「無双」として体験するためには、スイッチ2の圧倒的な物量表現とグラフィックが不可欠だった。 「正史」という壮大なテーマに見合う、最高のゲーム体験を提供する。 その強い意志こそが、1億4000万台市場を捨てるという、大きなリスクを冒してでも「スイッチ2独占」を選んだ最大の理由なのだと、私は思います。
深化したアクション要素(ゾナウギアとシンクストライク)
スイッチ2の性能は、もちろんゲームプレイの中核であるアクションにも革新をもたらします。 『封印戦記』では、『ティアキン』でおなじみの「ゾナウギア」が、無双アクションに戦略的に組み込まれるとのこと。
例えば、ゾナウバッテリーを消費して、火龍の頭で敵を一掃したり、ゴーレムを呼び出して戦わせたり…。 初代スイッチでは、こうしたオブジェクトを大量に出現させることは、さらなる処理落ちの原因になっていたはずです。 スイッチ2のパワーがあるからこそ、戦況に合わせてゾナウギアを戦略的に活用するという、新しいアクションの幅が生まれるのです。
また、パートナーキャラクター(初代賢者やラウルなど)との協力必殺技「シンクストライク」も発表されています。 これは、従来の必殺技を超える絶大な威力を持つとされています。 こうしたド派手な演出も、フレームレートの安定が保証されているスイッチ2だからこそ、プレイヤーは最高のカタルシスを味わうことができるのです。
初代スイッチでは実現不可能な「次世代の無双体験」
ここまで見てきたように、『封印戦記』がスイッチ2独占となった理由は、単なる販売戦略ではなく、「初代スイッチの制約下では絶対に作れないゲームを作る」という、開発チームの極めて強い意志の表れです。
- 処理落ちのない、真の一騎当千の爽快感。
- DLSSとRTによる、実写と見紛うほどのグラフィック。
- 44.9GBに詰め込まれた、妥協のないコンテンツ密度。
- 「正史」を描き切るための、圧倒的な物量表現。
これら全てが、『封印戦記』が「次世代の無双ゲーム」であることの証明です。 販売本数がどうなるか、という「爆死」の懸念は、確かに私にもあります。 しかし、それ以上に、ここまで尖った、一切の妥協を排したゲームが、スイッチ2という新しい舞台でどれほどの輝きを見せてくれるのか。 一人のゲームファンとして、攻略ライターとして、その期待が不安を上回っているのも事実です。
まとめ
今回は、『ゼルダ無双 封印戦記』がなぜ「爆死確定」とまで言われてしまうのか、その理由である「スイッチ2独占販売」がもたらす数々のデメリットを分析しました。 同時に、なぜ開発チームがその大きなリスクを負ってまで独占を選んだのか、その技術的な背景と作品にかける情熱についても深掘りしてきました。
確かに、発売初期の販売本数は、初代スイッチの巨大な市場を失うことで、伸び悩むかもしれません。 スイッチ2本体の普及状況や価格、品薄問題など、懸念材料は山積みです。 『厄災の黙示録』のような400万本ヒットは、すぐには難しいでしょう。
しかし、『封印戦記』は、スイッチ2の性能を限界まで引き出し、『ティアキン』の「正史」を描くという使命を帯びた、妥協のない作品です。 もし、このゲームが「スイッチ2でしか味わえない、とんでもない体験だ」と口コミで広がれば、ハードの普及と共にじわじわと売れ続ける「ジワ売れ」タイトルになる可能性も秘めています。 そして、この『封印戦記』こそが、「スイッチ2を買う決定的な理由」になるかもしれません。
私たちファンにできることは、まずスイッチ2本体を無事に入手すること…かもしれませんね。 私も発売日までに、なんとかスイッチ2を手に入れて、太古のハイラルに駆けつける準備をしたいと思います。 『封印戦記』が、単なる「爆死」という言葉では終わらない、歴史に残る一本になることを心から願っています。
