ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のFFTリマスター(ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース クロニクルズ)で、旧作から削除される要素が何なのか、そしてなぜ一部のファンから厳しい声が上がっているのかが気になっていると思います。 長年愛され続けてきた名作の復活に胸を躍らせる一方で、大切な思い出が損なわれてしまうのではないかという不安は当然のことでしょう。

この記事を読み終える頃には、FFTリマスターで何が変更され、何が削除されるのか、そしてその背景にあるファンの複雑な心境についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 獅子戦争の追加要素が大幅削除
- ファンが期待した加筆内容との乖離
- 声優陣への注力とゲーム内要素の追加不足
- 原作準拠と進化のバランスへの疑問

FFTリマスターで削除(廃止)される要素一覧
待望のリマスター版『ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース クロニクルズ』の発表は、多くの古参ファンを歓喜させました。 しかし、詳細な情報が明らかになるにつれて、特にPSP版『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』で追加された多くの要素が、今回のリマスター版では採用されないことが判明し、大きな波紋を呼んでいます。

ここでは、具体的にどの要素が削除、あるいは廃止される見込みなのかを詳しく解説していきます。 購入を検討している方は、ご自身が大切にしている要素が含まれていないか、ぜひご確認ください。
【ジョブ】玉ねぎ剣士と暗黒騎士の削除
『獅子戦争』で追加された二つのジョブ、「玉ねぎ剣士」と「暗黒騎士」は、今回のリマスター版には登場しません。 これは、ゲームの戦略性に大きな影響を与える変更点と言えるでしょう。

玉ねぎ剣士の不在
「玉ねぎ剣士」は、『ファイナルファンタジーIII』を彷彿とさせる特殊なジョブです。 初期状態ではアビリティもセットできず、ステータスも低い最弱のジョブですが、「他のジョブをマスターしていくことで成長する」という大器晩成型の特性を持っていました。 全ての装備を身につけられる唯一無二の存在であり、育成の果てには最強のユニットとなり得るロマンを秘めていたのです。 正直なところ、その育成の困難さから実用性は高いとは言えず、多くのプレイヤーが主力として使うことは稀でした。 しかし、この「やり込みの先にある達成感」を象徴するようなジョブがなくなることは、育成の多様性が一つ失われることを意味します。
暗黒騎士の廃止が与える影響
一方、「暗黒騎士」の削除は、より多くのプレイヤーにとって大きな問題です。 『獅子戦争』における暗黒騎士は、主人公ラムザや汎用ユニットの最終目標となり得る強力な物理アタッカージョブでした。 HPを代償に放つ強力な範囲攻撃「暗黒」は、聖剣技にも匹敵する性能を誇り、これまで遠距離・範囲攻撃に乏しかったラムザの戦い方に革命をもたらしました。
原作の物語において、ライバルであるディリータが強力な「聖剣技」を使いこなすのに対し、ラムザには同等の固有技が存在せず、どこか物足りなさを感じていたプレイヤーは少なくありませんでした。 暗黒騎士は、そんなラムザを名実ともに最強の主人公へと押し上げるための重要なピースだったのです。 このジョブがなくなることで、ラムザの育成方針は再び原作準拠のものに戻り、『獅子戦争』で可能だった戦略の一部は再現できなくなります。 ファンから「またラムザが不遇な扱いに戻るのか」という嘆きの声が上がるのも、無理からぬことでしょう。
【キャラクター】バルフレアとルッソの不在
『獅子戦争』では、同じイヴァリースの世界を舞台にした別作品からのゲストキャラクターとして、「バルフレア」と「ルッソ」が仲間になりました。 しかし、彼らもまた、リマスターの舞台に上がることはありません。
“空賊”バルフレアの退場
『ファイナルファンタジーXII』の主人公の一人であるバルフレアは、『獅子戦争』において「最強」の呼び声も高い、まさに”ぶっ壊れ”性能のユニットでした。 固有ジョブ「機工士」の能力に加え、4回連続攻撃の「乱れ撃ち」や優秀な盗む系アビリティを持ち、その火力は作中最強のユニットであるオルランドゥすら凌駕するほどでした。 彼の加入はゲームの難易度を著しく下げる一方で、その圧倒的な強さは多くのプレイヤーに強烈なインパクトを残しました。 一部ではゲームバランスを崩壊させたと批判されることもありましたが、イヴァリースの世界観の広がりを感じさせる象徴的なキャラクターであり、彼をもう一度使いたかったというファンは非常に多いです。
“モブハンター”ルッソの不参加
『ファイナルファンタジー タクティクス A2 封穴のグリモア』の主人公であるルッソも、強制加入のイベントを経て仲間になるキャラクターでした。 彼の固有ジョブ「モブハンター」は、ラムザの見習い戦士とほぼ同等の性能を持ち、早期から「さけぶ」などの強力なアビリティを使える点が魅力でした。 また、デフォルトで「密猟」のジョブ特性を持つため、アイテム収集においても非常に有用な存在でした。 バルフレアほど突出した強さはありませんでしたが、ラムザと似た運用ができる汎用性の高さから、パーティの主力として育て上げたプレイヤーも少なくないでしょう。 彼らゲストキャラクターの不在は、『獅子戦争』で広がったイヴァリースのクロスオーバー要素が失われることを意味し、作品の魅力を構成していた一つの側面が削がれてしまったと言えます。
【イベント】獅子戦争の追加シナリオの削除
『獅子戦争』では、原作の物語を補完する新たなイベントシーンが多数追加されていました。 これらのシーンはキャラクターの心情をより深く掘り下げ、物語に厚みを持たせる重要な役割を担っていましたが、リマスター版では廃止される可能性が非常に高いです。

具体的には、以下のようなイベントが挙げられます。
- ウィーグラフとローファルの会話: 聖騎士ウィーグラフが、悪魔ベリアスへと変貌するに至る心の葛藤を描いたシーン。
- ディリータによるオヴェリア救出戦: プレイヤーがディリータを操作し、オヴェリア王女を救出する戦闘イベント。
- ディリータとオヴェリアの草笛: ラムザとの思い出の草笛を、ディリータがオヴェリアと吹く、二人の複雑な関係性を象徴するシーン。
- メリアドールとクレティアンの対決: 神殿騎士団内の対立と、メリアドールの信念を描く戦闘前の会話イベント。
これらの追加イベントは、いずれも物語の核心に触れるキャラクターたちの人間ドラマを補完するものでした。 特にディリータとオヴェリアの関係性の変化や、敵キャラクターの背景を描くシーンは、原作では語りきれなかった部分を埋める貴重なものであり、物語の解像度を大きく上げていました。 これらのシーンがなくなることで、物語の印象が原作に近い、よりドライなものに戻る可能性があります。 『獅子戦争』の重厚な物語に感動したファンにとっては、非常に残念な変更点です。
【アイテム・装備】ティンカーリップと関連イベントの削除
『獅子戦争』には、特定の条件を満たすことで発生する「ティンカーリップ」というアイテムを入手できるユニークなイベントがありました。 これは、機工士ムスタディオと聖騎士アグリアスの関係性を描いた、FFTの世界では珍しい恋愛模様のイベントです。
このイベントをクリアすると、女性専用の超強力なアクセサリー「ティンカーリップ」が手に入りました。 その性能は「永久ヘイスト+永久プロテス+物理・魔法AT+3+聖属性強化」という、まさに鬼畜とも言える破格の効果。 イベントの内容もさることながら、この強力な報酬もプレイヤーの記憶に強く残っています。 原作のシリアスで重厚な雰囲気の中、一服の清涼剤となるような心温まるイベントであり、キャラクターへの愛着を深めるきっかけにもなりました。 このイベントとアイテムが削除されることで、キャラクターの新たな一面を知る機会と、強力な装備を入手する楽しみが一つ失われることになります。
【やりこみ要素】共同戦線とコロシアムの廃止
PSP版『獅子戦争』の独自要素として、通信機能(Ad hocモード)を利用した「共同戦線」と「コロシアム」がありました。 これらは、本編クリア後のやり込み要素として多くのプレイヤーに楽しまれていましたが、リマスター版では廃止される見込みです。
共同戦線
「共同戦線」は、他のプレイヤーと協力して専用のミッションに挑むモードです。 ここには本編をはるかに上回る強敵が登場し、クリアすることでしか手に入らない強力な装備やアイテムが報酬として用意されていました。 本編では最強装備を手に入れてもそれを試す場所が少ないという問題がありましたが、共同戦線はその格好の舞台となっていました。 仲間と戦略を練り、強敵に挑むという体験は、一人用プレイとはまた違った楽しさがありました。
コロシアム
「コロシアム」は、育て上げた自慢のユニットで他のプレイヤーと対戦するモードです。 トラップを仕掛けたり、高低差を利用したりと、FFTならではの戦略的な駆け引きが醍醐味でした。 現代のオンライン対戦環境があれば、より洗練された形で復活できたのではないかと思うと、非常に惜しい要素です。
これらの通信プレイ要素の廃止は、強力な装備の存在価値を低下させ、クリア後のやり込みの目標を大きく損なう可能性があります。 スマホ版の『獅子戦争』では、共同戦線の報酬アイテムはクリア後に店で購入できるという形で救済されましたが、肝心の「強敵と戦う舞台」が失われたままでは、アイテムの価値も半減してしまいます。 リマスター版でどのような代替措置が取られるかは不明ですが、この点のフォローがなければ、やり込み派のプレイヤーにとっては大きなマイナスポイントとなるでしょう。
【その他】獅子戦争でのバランス調整の行方
『獅子戦争』では、ジョブやキャラクターの性能に細かなバランス調整が加えられていました。 例えば、原作では使い勝手が悪かったメリアドールの「剛剣」がモンスターにも有効になったり、ラファやマラークの「真言・裏真言」の命中率が改善されたり、竜騎士レーゼのブレス技が強化されたりと、不遇だったユニットの多くが救済されました。
リマスター版が「原作準拠」を謳う以上、これらのキャラクター性能に関する調整がどうなるかは非常に気になるところです。 もし、これらの調整まで原作通りに戻されてしまうと、せっかく『獅子戦争』で輝いたキャラクターたちが再び不遇な時代に戻ってしまうことになります。 この点についてはまだ公式から明確な発表はありませんが、プレイヤーのストレスに直結する部分なだけに、ぜひ『獅子戦争』の良い調整は引き継いでほしいと願うばかりです。
なぜファンは怒っているのか?削除・変更点に対する評価
FFTリマスターの発表は、当初は大きな期待とともに迎えられました。 しかし、前述の通り『獅子戦争』の要素が大幅に削除されることが判明すると、その期待は失望、そして怒りへと変わっていきました。 なぜ、これほどまでにファンの反発は大きいのでしょうか。 その背景には、いくつかの複合的な要因が存在します。

期待と現実のギャップ|「大幅加筆」の正体
情報公開の初期段階で、開発陣は「ストーリーに大幅な加筆調整が行われる」と発表しました。 この言葉に、多くのファンは胸を躍らせました。 「原作で語られなかった物語の裏側が描かれるのではないか」 「ディリータを主人公にしたアナザーストーリーが追加されるのでは?」 「エンディング後の世界が見られるのかもしれない」 そうした、長年ファンが抱き続けてきた夢想が現実になるかもしれない、と。
しかし、蓋を開けてみれば、その「大幅加筆」の正体は、主にフルボイス化に伴うセリフの追加や調整が中心でした。 キャラクターの人間関係を深掘りするような新規シナリオや、物語の根幹に関わるような追加要素はほとんどなかったのです。 もちろん、フルボイス化自体は素晴らしい試みであり、キャラクターに新たな命を吹き込むことは間違いありません。 ただ、ファンが「大幅加筆」という言葉から想像したものと、実際に提供されたものとの間には、あまりにも大きな乖離がありました。 この期待と現実のギャップこそが、失望感の最も大きな原因と言えるでしょう。 期待を煽られた分、裏切られたという思いが強くなってしまったのです。
「原作準拠」という言葉の壁
開発陣は、今回のリマスターが「初代プレイステーション版をできるだけ忠実に再現した」原作準拠の作品であることを強調しています。 『獅子戦争』の要素を削除したのも、この方針のためだと説明されています。 確かに、オリジナルの体験を尊重する姿勢は理解できます。 そのために、原作に近い形で遊べる「クラシックモード」が用意されていること自体は、素晴らしい配慮です。
しかし、多くのファンが疑問に思っているのは、「それならば、なぜエンハンスドモードまで原作に縛られる必要があるのか」という点です。 クラシックモードという”聖域”があるのであれば、エンハンスドモードではもっと大胆に、『獅子戦争』の要素を取り入れたり、あるいは全く新しい追加要素を盛り込んだりするべきだったのではないか。 「原作準拠」という言葉が、リマスター版の進化を妨げるための都合の良い言い訳のように聞こえてしまっているのです。 ファンは単なるグラフィックの向上やボイスの追加だけでなく、ゲーム体験そのものの進化を求めていました。 その期待に対し、「原作準拠」という言葉はあまりにも高い壁となって立ちはだかっています。
『獅子戦争』は”なかったこと”にされたのか?
PSPで発売された『獅子戦争』は、単なる移植版ではありませんでした。 追加ジョブ、追加キャラクター、美麗なムービー、新たなシナリオなど、多くの魅力的な要素が加えられ、FFTの世界をさらに深く、広くしてくれた作品です。 賛否両論があった部分も確かにあるでしょう。 しかし、多くのプレイヤーにとって、『獅子戦争』こそがFFTの「完成形」であり、長年親しんできたバージョンなのです。
今回のリマスターで、その『獅子戦争』の追加要素がほぼ全て削除されるという決定は、長年のファンにとって「自分たちの愛したFFTの歴史が否定された」「思い出が”なかったこと”にされた」かのように感じられました。 特に、ラムザを強化し、多くのプレイヤーに愛用された「暗黒騎士」の削除は、その象徴的な出来事です。 『獅子戦争』をベースにした正統進化を期待していたファンにとって、今回の「原作回帰」は、進化ではなく退化に他なりませんでした。
声優(ボイス)への注力とゲームシステム面の停滞
リマスター版の最大の目玉の一つが、豪華声優陣によるフルボイス化です。 イベントシーンはもちろん、戦闘中の掛け合いやアビリティの詠唱に至るまで、膨大な量のボイスが新規収録されています。 この力の入れようは、ファンからも高く評価されています。
しかし、その一方で、ゲームシステム面での追加要素があまりにも少ないことが、不満の矛先となっています。 「ボイスにかける予算と労力を、少しでも新しいジョブやマップ、やり込み要素に回してくれればよかったのに」というのが、多くのファンの本音でしょう。 声優陣の熱演が素晴らしいものであることは間違いありませんが、それはあくまでFFTという優れたゲームの土台があってこそ輝くものです。 ファンが求めていたのは、まず第一にシミュレーションRPGとしての新たな面白さでした。 ボイスへの極端な注力は、開発がファンの求めるものを見誤っているのではないか、という疑念を抱かせる結果となっています。
比較項目 | FFTリマスター(エンハンスド) | ユーザーが期待していたもの(一例) |
---|---|---|
ストーリー | フルボイス化、セリフの追加・調整 | 新規シナリオ、エンディング後の物語、別視点ストーリー |
ジョブ | 原作準拠(追加なし) | 暗黒騎士の復活、新規ジョブの追加 |
キャラクター | 原作準拠(追加なし) | バルフレア・ルッソの復活、新規キャラクターの追加 |
システム | UI改善、難易度設定、オートセーブ | 新規マップ、オンライン対戦、共同戦線のようなやり込み要素 |
BGM | 原作準拠(追加なし) | 新規楽曲、アレンジバージョンの追加 |
他社リマスター作品との比較で際立つ手抜き感
近年、ゲーム業界では過去の名作を現代に蘇らせるリマスターやリメイクが数多く発売されています。 その中には、原作を尊重しつつも、ユーザーの期待を上回る追加要素や改善を施し、「神リマスター」と絶賛される作品も少なくありません。 例えば、ほぼ同時期に発売されるアトラスの『ライドウ』シリーズのリマスターなどは、ファンが求めるものを的確に捉えた改善が評価されています。
そうした他社の意欲的な作品と比較した際に、今回のFFTリマスターが「手抜き」「低予算なのでは?」と見られてしまうのは、仕方のないことかもしれません。 グラフィックの向上やフルボイス化は確かに手間のかかる作業ですが、ゲームの根幹を成すコンテンツ部分に追加がほとんどないため、どうしても見劣りしてしまうのです。 FFTという偉大な作品の名を冠する以上、ファンが他社の優れたリマスター作品と同等、あるいはそれ以上のクオリティを期待するのは当然のことです。 その高いハードルを、今回のリマスターは越えられていない、というのが多くのファンの厳しい評価なのでしょう。
クラシックモードがあるのになぜエンハンスドは控えめなのか
この疑問は、多くのファンの不満の核心を突いています。 前述の通り、原作の体験をそのまま楽しみたいプレイヤーのために「クラシックモード」が用意されています。 これは、原作ファンへの最大限の配慮であり、素晴らしい判断です。 しかし、その存在が逆に「エンハンスドモード」への不満を増幅させています。
「原作を保護するモードがあるのだから、新しい体験を提供するエンハンスドモードでは、もっと自由に、もっと大胆に変更を加えても良かったはずだ」。 これが、ファンの偽らざる心境です。 『獅子戦争』の要素を全て盛り込み、さらに新しいジョブやシナリオを追加したとしても、クラシックモードを選べば原作通りのプレイが保証されるのですから、何の問題もなかったはずです。 にもかかわらず、エンハンスドモードまで原作の呪縛に囚われているかのような控えめな変更に留まっている現状は、理解に苦しむと言わざるを得ません。 開発陣の「失敗を恐れるあまり、挑戦を避けた」という姿勢が透けて見え、それがファンの失望を招いています。
価格設定への不満|フルプライスに見合う価値はあるか
FFTリマスターは、新作ゲームと同等のフルプライスで販売されます。 この価格設定も、ファンの不満に拍車をかけています。 もしこれが、追加要素の少ない廉価な移植版であれば、ここまで大きな反発はなかったかもしれません。
しかし、フルプライスとなれば話は別です。 プレイヤーは価格に見合った、あるいはそれ以上の価値を作品に求めます。 現状公開されている情報を見る限り、「フルボイス化とグラフィックの向上だけで、この価格は高すぎる」と感じるファンが多いのが実情です。 特に、『獅子戦争』のコンテンツが大幅に削られている点を考慮すれば、ボリュームダウンしているにもかかわらず価格は据え置き、という印象すら与えかねません。 この価格設定が、リマスター版の内容に対するファンの厳しい評価を、より一層強固なものにしているのです。
まとめ
今回は、大きな期待とともに発表された『ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース クロニクルズ』について、削除される要素と、それに対するファンの厳しい声の背景を詳しく解説してきました。
削除される主な要素:
- 『獅子戦争』の追加ジョブ(玉ねぎ剣士、暗黒騎士)
- 『獅子戦争』の追加キャラクター(バルフレア、ルッソ)
- 『獅子戦争』で追加された物語を補完するイベントシーン
- PSP版の通信プレイ要素(共同戦線、コロシアム)
これらの変更は、リマスター版を「初代PS版準拠」とする開発方針によるものですが、長年『獅子戦争』に親しんできたファンにとっては、単なる仕様変更ではなく、大切な思い出とゲーム体験の大部分が失われることを意味します。
ファンが怒る理由:
- 「大幅加筆」という言葉への過度な期待とその裏返し
- 原作準拠を掲げつつ、進化を望む声に応えられていない現状
- 『獅子戦争』という作品の歴史が軽視されているかのような印象
- ゲームシステム面の進化よりもボイスへの注力が目立つ開発姿勢
- フルプライスに見合うコンテンツ量であるかという疑問
私自身、一人のFFTファンとして、今回のリマスターに期待する気持ちと、不安な気持ちが入り混じっているのが正直なところです。 グラフィックが美しくなり、あのキャラクターたちが声を発する世界は、間違いなく魅力的でしょう。 しかし、同時に『獅子戦争』で体験した興奮や感動が失われてしまうことへの寂しさも感じています。
最終的にこのリマスター版を購入するかどうかは、個々のプレイヤーが「何を重視するか」にかかっています。 原作の体験を美しいグラフィックとフルボイスで追体験したいと考えるプレイヤーにとっては、素晴らしい作品になるかもしれません。 一方で、『獅子戦争』のコンテンツや、それを超える新たなゲーム体験を望むプレイヤーにとっては、物足りない作品に映る可能性が高いでしょう。
発売までまだ時間はあります。 今後、ファンの声に応える形で、新たな情報やサプライズが発表されることを、心の底から願っています。 このレビューが、あなたの購入の判断の一助となれば幸いです。