ゲーム評論家の桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、「なぜドラクエ4のフルリメイクは出ないのか?」「天空シリーズより先にドラクエ7がリメイクされるのはなぜ?」といった疑問が気になっていると思います。

国民的RPGであるドラゴンクエストシリーズ、特にファンからの支持が厚い天空シリーズ、その中でも最高傑作との呼び声も高い「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」のフルリメイクを待ち望む声は後を絶ちません。
しかし、発表されたのは「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」のHD-2D版リメイクと、まさかの「ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち」の再リメイク「リイマジンド」でした。 このスクウェア・エニックスの判断には、一体どのような戦略や裏事情が隠されているのでしょうか。
この記事を読み終える頃には、ドラクエ4のフルリメイクがなぜ実現しないのか、そしてスクエニが描く今後のリメイク戦略についての疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- ドラクエ4リメイクが発売されない3つの現実的な理由
- 天空シリーズを飛ばしてドラクエ7が優先された戦略的意図
- スクエニが抱える開発リソースの問題と新作遅延の実態
- 今後のドラクエリメイク作品の可能性と未来予測

ドラクエ4フルリメイクが発売されない現実的な3つの理由
多くのファンが待ち望んでいるにもかかわらず、なぜドラクエ4の本格的なフルリメイクは発表されないのでしょうか。 過去にニンテンドーDSでリメイクされていますが、あれはあくまでリマスターに近いものであり、現代の技術で一から作り直す「フルリメイク」とは異なります。 そこには、主に3つの大きな理由が考えられます。

理由①:HD-2Dリメイクの開発コストと期間という高い壁
現在、スクエニのリメイク戦略の柱の一つとなっているのが、「オクトパストラベラー」で確立された「HD-2D」技術です。 ドット絵の懐かしさと3DCGの美麗なエフェクトを融合させたこの表現方法は、多くのゲーマーから高い評価を受けています。 そして、そのHD-2D技術を用いて「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」のリメイクが進められています。
しかし、このHD-2Dリメイク、決して簡単なプロジェクトではありません。 2021年5月に発表されてから発売まで3年以上を要しており、開発が長期化していることが伺えます。 ドット絵といっても、キャラクターの動きから背景の作り込み、光や水の表現まで、現代のプレイヤーが満足するクオリティに仕上げるには、膨大なコストと時間、そして高い技術力を持つ人材が必要です。
ここで、ドラクエ4をはじめとする天空シリーズ(4, 5, 6)に目を向けてみましょう。 これらの作品は、ドラクエ3と比較してもシナリオのボリュームが格段に大きく、登場するキャラクター、街、ダンジョンの数も膨大です。 特にドラクエ4は、5つの章で構成されるオムニバス形式という特殊なシナリオを持っています。 各章で主人公が異なり、それぞれに広大なマップと独自のストーリーが用意されているため、これをHD-2Dでフルリメイクするとなると、ドラクエ3の比ではない開発規模になることは想像に難くありません。
作品 | シナリオ形式 | 特徴 | リメイクの想定難易度 |
---|---|---|---|
ドラクエ3 | 自由度の高い冒険 | 世界を旅し仲間を集める王道RPG | 高 |
ドラクエ4 | オムニバス形式 | 全5章(+α)で異なる主人公が活躍 | 非常に高い |
ドラクエ5 | 親子3代にわたる物語 | 仲間モンスターシステム、壮大な時間軸 | 非常に高い |
ドラクエ6 | 2つの世界が舞台 | 転職システム、広大なマップ | 非常に高い |
このように、ドラクエ4をHD-2Dでリメイクする場合、開発期間は5年以上、コストも数十億円規模になる可能性があります。 ビジネス的な観点から見れば、非常にリスクの高いプロジェクトであり、スクエニが慎重になるのも無理はないでしょう。
理由②:ドラクエ7「リイマジンド」が優先された戦略的意図
ドラクエ4のファンが肩を落とす一方で、サプライズと共に発表されたのが「ドラゴンクエストVII リイマジンド」です。 「なぜ天空シリーズを飛ばして7なんだ?」という声が多く聞かれましたが、これには明確な戦略的意図が隠されていると考えられます。

ドラクエ7は、オリジナル版(PS)が国内売上400万本以上を記録した大ヒット作である一方、「石板集めが苦痛」「シナリオが暗い」「仲間が突然離脱する」といった理由から、シリーズの中でも特に賛否が激しく分かれる作品でもあります。 つまり、**「ポテンシャルは高いが、不満点も多い作品」**なのです。
ここに、リメイクの大きな意義が生まれます。 すでに完成された評価を得ている天空シリーズをリメイクするよりも、賛否両論あるドラクエ7の不満点を解消し、現代の技術でその壮大な物語を再構築することで、**「過去作の再評価」と「新規ファンの獲得」**という二つの大きな目的を達成できる可能性があるのです。
また、今回採用された「ドールルック」という新たなグラフィック表現も重要です。 これはHD-2Dとは全く異なるアプローチであり、フィギュアをスキャンしてキャラクターモデルを作成するという、温かみのある絵本のようなビジュアルを目指しています。 スクエニは、HD-2D一本槍ではなく、作品の雰囲気に合わせて最適なリメイク手法を模索しているのでしょう。 ドラクエ7の持つ、小さな島々を解放していく独特の閉塞感と、その先にある感動というテーマには、このドールルックがマッチすると判断したのかもしれません。 ドラクエ7リイマジンドは、この新しいリメイク手法の試金石としての役割も担っているのです。
理由③:スクエニ社内の開発リソースと深刻な優先順位の問題
最後の理由は、スクエニという企業が抱える内部的な問題、すなわち開発リソースの配分です。 現在、スクエニでは数多くの大型タイトルが同時並行で開発されています。 最優先事項はもちろん、完全新作である「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」でしょう。 加えて、「ファイナルファンタジー」シリーズの新作やリメイク、その他の新規IPなど、開発ラインは常に飽和状態にあると推測されます。
ゲーム開発、特にAAA級タイトルの開発には、優秀なディレクター、プログラマー、アーティストといった専門職の人材が不可欠です。 しかし、そうした人材は限られています。 当然、企業としては完全新作であるドラクエ12に最も優秀なチームを割り当てるでしょう。
そうなると、リメイク作品に割けるリソースには限りが出てきます。 ドラクエ3のHD-2D版、そしてドラクエ7のリイマジンド、この二つの大規模リメイクを動かすだけでも、社内のリソースはかなり圧迫されているはずです。 そこに加えて、ドラクエ4のフルリメイクという巨大プロジェクトを新たに始動させる余裕は、今のスクエニにはないのかもしれません。 ファンとしては歯がゆい状況ですが、企業経営の観点から見れば、リソースを分散させて全てのクオリティが中途半端になるよりは、優先順位をつけて一つ一つの作品を確実に完成させるという判断は合理的と言えるでしょう。 新作の遅延が常態化しつつある現状も、このリソース不足問題を裏付けているのかもしれません。
なぜドラクエ7は賛否両論なのか?オリジナル版の問題点を振り返る
ドラクエ7リイマジンドがなぜ優先されたのかを理解するためには、オリジナル版がなぜ「賛否両論」と呼ばれるに至ったかを知る必要があります。 2000年にプレイステーションで発売された本作は、多くの革新的な要素を持ちながらも、同時に多くのプレイヤーを悩ませる問題を抱えていました。
悪名高き「石板集め」という名の苦行
ドラクエ7の最大の特徴であり、同時に最大の批判点となったのが「ふしぎな石板」システムです。 世界に散らばる石板の欠片を集め、それを台座にはめることで過去の世界へワープするというのが物語の根幹でした。
しかし、この石板探しが非常に困難を極めたのです。 特に序盤はヒントが極端に少なく、広大なフィールドやダンジョンの隅々まで、文字通りしらみつぶしに探さなければ見つからないケースが多発しました。 カメラを特定の角度に変えないと見えない場所に隠されていたり、NPCとの膨大な会話の中にヒントが紛れていたり…その理不尽なまでの難易度に、多くのプレイヤーが進行を諦め、中古ショップにソフトが溢れる原因ともなりました。
「冒険している感」を演出するためのシステムが、結果としてプレイヤーに「作業」と「ストレス」を強いることになってしまったのです。 この点は、後に発売されたニンテンドー3DS版で「石板レーダー」が追加されるなど、大幅な改善が図られましたが、オリジナル版のトラウマとして今なお語り継がれています。
育成が無駄に?突然の仲間離脱が与えた衝撃
シナリオ面で最も物議を醸したのが、主要キャラクターの離脱です。 特に、物語序盤から主人公の兄貴分として活躍する仲間「キーファ」が、ストーリーの途中でパーティから永久に離脱してしまう展開は、多くのプレイヤーに衝撃を与えました。
キーファは王子という立場でありながら力強い戦士であり、パーティの主戦力として頼りにしてきたプレイヤーほど、その喪失感は大きなものでした。 何より、それまで育ててきた経験値や装備、熟練度などが全て無駄になってしまうというゲームシステム上の問題は、批判の的となりました。 物語の都合とはいえ、プレイヤーの努力を一方的に無に帰す展開は、RPGとして許容しがたいと感じる人が多かったのです。
さらに、ヒロインの「マリベル」も中盤で一時的に離脱します。 彼女は強力な攻撃呪文の使い手であるため、彼女の離脱はパーティの戦力を大きく削ぐことになりました。 復帰は物語がかなり進んだ後になるため、他のキャラクターとのレベル差が開き、再び一軍で活躍させるには多大な育成時間が必要になるという問題も抱えていました。 これらのキャラクター離脱は、物語に深みを与える一方で、ゲームプレイの快適性を著しく損なう要因となってしまったのです。
「100時間遊べる」が招いたボリュームとシナリオの重さ
ドラクエ7のキャッチコピーは「人は、誰かが見た夢を見る。」そして、そのボリュームを示す「100時間遊べるRPG」という言葉も広く使われました。 確かにその言葉に偽りはなく、寄り道要素を抜きにしてもクリアまでに70~100時間かかるという、当時としては破格のボリュームを誇っていました。
しかし、その長さが逆にプレイヤーのモチベーションを削ぐ結果にも繋がりました。 本作は、石板で復活させた小さな世界で起こる問題を解決するという、一話完結型のショートストーリーの連続で構成されています。 個々のエピソードは、人間の欲望や哀しみを描いた重厚なものが多く、非常に読み応えがあります。
一方で、そのシナリオの多くが陰鬱で、後味の悪い結末を迎えるものが少なくありませんでした。 魔物に支配され滅びゆく街、人間同士の醜い争い、救いのない悲劇。 そうした重たい話が延々と続くため、プレイしていて精神的に疲れてしまうという声も多く聞かれました。 壮大なメインストーリーの伏線が少なく、小さな物語の繰り返しに感じられてしまい、中盤で「だれてしまう」プレイヤーが続出したのです。 ボリュームの大きさが、必ずしも面白さに直結するわけではないということを示す一例となりました。
ドラクエ7リイマジンドはどんなゲーム?変更点と新要素を徹底解説
賛否両論あったオリジナル版から、ドラクエ7リイマジンドはどのように生まれ変わるのでしょうか。 公開された情報から、その注目の変更点と新要素を徹底的に解説していきます。 これらの変更点からは、スクエニが過去の批判点をいかに真摯に受け止め、現代のゲームとして昇華させようとしているかが見て取れます。
グラフィックの大幅な進化「ドールルック」
最も大きな変化は、そのビジュアルです。 HD-2Dとも、ドラクエ11のようなリアル頭身の3Dとも異なる、「ドールルック」と呼ばれる新たなグラフィック表現が採用されました。 これは、キャラクターデザイナーの鳥山明氏が描いたイラストを基に作成されたフィギュア(ドール)を3Dスキャンし、ゲーム内のキャラクターモデルを制作するという非常にユニークな手法です。
これにより、キャラクターはまるで手作りの人形のような温かみと質感を持ち、背景は絵本のように美しく描き込まれています。 この独自の世界観は、ドラクエ7の持つどこか物悲しくも美しい物語と見事にマッチする可能性を秘めています。 フル3Dでありながら、デフォルメされたキャラクターたちが織りなす冒険は、プレイヤーに新しいドラクエ体験を提供してくれるでしょう。
職業システムの大きな変更点「掛け持ち」と「モンスター職廃止」
ドラクエ7のやり込み要素の中核を担っていた「職業システム」にも、大きなメスが入りました。
モンスター職の廃止
オリジナル版では、人間職に加えて、スライムやゴーレムといったモンスターになりきれる「モンスター職」が存在しました。 しかし、その膨大な数の割に実用的な職業が限られていたことや、育成に膨大な時間がかかることから、リイマジンドではモンスター職が一律で廃止されることが決定しました。 これは賛否が分かれる点かもしれませんが、ゲーム全体のテンポを良くし、より多くの人がクリアまでたどり着けるようにするための英断と言えるでしょう。
新システム「掛け持ち」
その代わりとして導入されるのが、2つの職業を同時に設定できる「掛け持ち」システムです。 例えば、「戦士」をメインにしながら「僧侶」を掛け持ちすることで、攻撃も回復もこなせるバランスの取れたキャラクターを育成できます。 「バトルマスター」と「ゴッドハンド」を掛け持ちすれば、物理攻撃に特化した超攻撃型キャラクターが誕生するかもしれません。 このシステムにより、育成の自由度が飛躍的に向上し、プレイヤーごとに個性的なパーティを作り上げる楽しみが生まれそうです。 また、1回の戦闘で2つの職業の熟練度を同時に稼げるようになる可能性が高く、育成にかかる時間の短縮にも繋がるでしょう。
バトルシステムの刷新と新要素「バースト」
バトルシステムも大きく進化します。 オリジナル版では4人パーティでしたが、リイマジンドでは控えメンバーを含む5人パーティとなり、戦闘中に入れ替えが可能になるようです。 これにより、長年の問題であった「オルスバン」(仲間が1人余って待機すること)が解消され、より戦略的なバトルが楽しめます。
そして最大の目玉が、各職業に追加される新要素**「バースト」**です。 これは、戦闘中に特定の条件を満たすことで発動できる必殺技のようなもので、戦況を一変させるほどの強力な効果を持っています。
職業 | バースト名 | 効果(判明しているもの) |
---|---|---|
魔法使い | 魔力暴走 | 2ターンの間、唱える呪文が必ず暴走する |
僧侶 | 天使の歌 | 仲間全体を確実に復活させ、悪い効果も消し去る |
盗賊 | 悪事千里 | 敵に状態異常を与えると再行動できる |
バトルマスター | 背水の構え | 守りを捨てて物理攻撃の威力を大幅に上げる |
賢者 | やまびこのさとり | 呪文が2回連続で発動する |
パラディン | パラディンガード | ガード率を最大にしてダメージを軽減する |
ゴッドハンド | アルテマソード? | (メルビンの使用シーンから推測) |
これらのバーストをどのタイミングで使うか、どのキャラクターのバーストを優先するかが、ボス戦の鍵を握ることになりそうです。
ストーリーの再編「主者選択」が意味するもの
リイマジンドでは、シナリオの**「主者選択」と「各シナリオ構成の再編」**を行ったと公式に発表されています。 「再編」は、物語をより分かりやすく、テンポよくするためのブラッシュアップと捉えられますが、気になるのは「主者選択」という言葉です。 これは、オリジナル版に存在した一部のシナリオがカットされる可能性を示唆しています。
ドラクエ7は数多くの石板世界で構成されているため、物語の本筋への関与が薄いエピソード(例えば、ダイアラックやグリーンフレークなど)が整理されるのではないかと噂されています。 ボリューム過多という批判に応えるための措置でしょうが、どのシナリオが選ばれるのか、ファンの間では様々な憶測が飛び交っています。
一方で、仲間キャラクターの加入時期が変更されるなど、物語の構成自体が大きく変わる可能性も示されています。 予告映像では、本来なら中盤以降に仲間になるはずの「アイラ」が、序盤のイベントであるハーメリアの時点でパーティにいるシーンが確認できます。 これにより、キャラクター同士の会話や関係性が新たに描かれる可能性があり、オリジナル版をプレイした人でも新鮮な気持ちで物語を楽しめる工夫が凝らされているようです。
ドラクエ4フルリメイクの可能性と今後のスクエニの動向
さて、ここまでドラクエ7リイマジンドの詳細と、それが優先された理由について考察してきました。 それでは、我々が待ち望むドラクエ4のフルリメイクに未来はあるのでしょうか。 最後に、今後のスクエニの動向を予測しつつ、その可能性を探ります。

天空シリーズリメイクの鍵を握る「ドラクエ3 HD-2D」の成功
ドラクエ4を含む天空シリーズのリメイクが実現するかどうか、その試金石となるのは、間違いなく**「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」HD-2D版の商業的な成功**です。
もし、ドラクエ3のHD-2D版が世界的に大ヒットを記録すれば、スクエニはHD-2Dというリメイク手法に大きな手応えを感じるでしょう。 そうなれば、当然次のHD-2D化プロジェクトとして、同じく人気の高い天空シリーズに白羽の矢が立つ可能性は十分にあります。 開発コストや期間という課題は残りますが、それを上回るリターンが見込めるとなれば、経営陣もゴーサインを出しやすくなります。
その場合、リメイクの順番は時系列順に4→5→6となるのが最も自然な流れでしょう。 まずはドラクエ3 HD-2D版を全力で応援し、その成功を後押しすることが、間接的にドラクエ4リメイクへの道を切り拓くことに繋がるのかもしれません。
もしドラクエ4がフルリメイクされるなら?期待される追加要素
仮にドラクエ4のフルリメイクが実現するとしたら、どのような作品になるのでしょうか。 ファンとして期待したい要素は尽きません。
- 仲間会話システムの搭載と深化: DS版で追加された仲間会話システムをフルボイスで搭載し、さらに内容を拡充。個性豊かな仲間たちの魅力をより深く掘り下げてほしいところです。アリーナとクリフトのコミカルなやり取りや、ライアンとホイミンの心温まる会話など、想像するだけで胸が躍ります。
- 第六章のシナリオ拡充: DS版で追加された、魔族の王ピサロを仲間にできる第六章。この物語をさらに深掘りし、なぜ彼が魔族の王となったのか、そして人間と共に歩む道を選んだのかを、より丁寧に描いてほしいという声は多いです。
- グラフィックの進化: HD-2Dであれ、リイマジンドのようなフル3Dであれ、現代の技術で再現されるサントハイム城やエンドール、天空城の姿は、きっと我々を感動させてくれるはずです。
- 戦闘システムの洗練: AI戦闘のさらなる進化や、各キャラクターの個性を活かした新たな特技・必殺技の追加など、戦略性の高いバトルへの期待も高まります。
これらの要素が加わったドラクエ4は、オリジナル版やDS版を超え、新たな世代にも語り継がれる不朽の名作となるでしょう。
ドラクエ12の開発とスクエニが抱える課題
希望的観測を述べましたが、現実にも目を向けなければなりません。 前述の通り、スクエニは「ドラゴンクエストXII」という最重要プロジェクトを抱えています。 しかし、その開発状況は順調とは言えないようで、情報公開が極端に少ないことからファンの不安は募るばかりです。
近年のスクエニは、大型タイトルの開発遅延や、発売後の品質問題などが散見されます。 まずは、ファンが最も待ち望んでいる完全新作であるドラクエ12を、最高のクオリティで世に送り出すことが企業の最優先課題です。 リメイク作品に多くのリソースを割くのは、ドラクエ12の開発が軌道に乗り、ある程度の目途が立ってからになるのかもしれません。
リメイクで過去のファンを繋ぎ止めつつ、完全新作で新たなファンを獲得する。 この両輪をうまく回していくことが、今後のスクエニ、そしてドラゴンクエストというIPの未来にとって不可欠です。
まとめ
今回のレビューでは、ドラクエ4のフルリメイクがなぜ発売されないのか、その裏事情とスクエニの戦略について深く考察してきました。
- 開発コストと期間の問題: 天空シリーズ、特にドラクエ4のボリュームを現代のクオリティでリメイクするには、莫大なリソースが必要。
- ドラクエ7優先の戦略: 賛否両論ある7をリメイクすることで、「再評価」と「新規ファン獲得」を狙う戦略的な意図がある。
- 社内リソースの限界: ドラクエ12をはじめとする新作開発が最優先であり、リメイクに割けるリソースには限りがある。
これらの理由から、残念ながらドラクエ4のフルリメイクが近いうちに発表される可能性は低いと言わざるを得ません。
しかし、希望が全くないわけではありません。 ドラクエ3 HD-2D版の成功、そしてドラクエ7リイマジンドで培われる新たなリメイク技術。 これらの成功が、未来の天空シリーズリメイクへと繋がる布石となるはずです。
我々ファンにできることは、まず発売が決定している「ドラゴンクエストIII HD-2D版」や「ドラゴンクエストVII リイマジンド」を心から楽しみ、ドラゴンクエストシリーズを盛り上げていくことでしょう。 そして、いつの日か「導かれし者たち」との再会が、最高の形で実現することを信じて、気長に待ちたいと思います。