ゲームジャーナリストの桐谷シンジです。 今回も多く寄せられてる質問にお答えしていきます。
この記事を読んでいる方は、待望のスイッチ2で発売された「サイバーパンク2077」が、実際どのくらい快適に遊べるのか、そして先行して発売されているPS5版やSteam版と比べて何が違うのか、といった点が気になっていると思います。
引用 : ニンテンドーオンライン(https://www.nintendo.com/jp/index.html)
巨大都市ナイトシティを舞台にしたこの大作を、携帯機でどこまで楽しめるのか、様々なプラットフォームでやり込んできた私が、徹底的にレビューします。
この記事を読み終える頃には、あなたがスイッチ2版「サイバーパンク2077」を買うべきかどうかの疑問が解決しているはずです。
記事のポイント
- 携帯機に最適化された驚きの快適性
- PS5・PC版とは異なるグラフィックとパフォーマンス
- ジャイロやマウス操作が実現する独自のプレイスタイル
- クロスセーブ対応で広がる無限の可能性
サイバーパンク2077とはどんなゲーム?
まずは「サイバーパンク2077」をまだプレイしたことがない方のために、本作がどのようなゲームなのかを簡単にご紹介します。 知っている方は、次の章から読み進めてくださいね。

巨大都市ナイトシティを舞台にしたオープンワールドRPG
「サイバーパンク2077」は、「ウィッチャー」シリーズで知られるCD PROJEKT REDが開発したオープンワールド・アクションRPGです。 舞台は2077年、科学技術が驚異的に発展する一方で、人体改造が日常となり、巨大企業がすべてを支配するディストピア巨大都市「ナイトシティ」。

プレイヤーは、謎めいたインプラントを脳に埋め込まれ、伝説のロックスター「ジョニー・シルヴァーハンド」(キアヌ・リーヴスが演じています)のゴーストと共に生きることになった傭兵「V(ヴィー)」として、この街で生き抜いていくことになります。
自分の選択が物語を紡ぐ自由度の高いストーリー
このゲームの最大の魅力は、その圧倒的な自由度の高さにあります。 何気ない会話の選択肢一つから、メインクエストの重要な決断まで、プレイヤーの選択が物語の展開や結末に大きく影響します。 ある人物を助けるか見捨てるか、企業に協力するか敵対するか。 無数の選択肢を通じて、あなただけの「V」の物語が紡がれていきます。 JRPGのような「誰もが救われるハッピーエンド」は少なく、時には厳しい決断を迫られることも。 そのビターな展開こそが、本作の持つリアリティと深みを生み出しているのです。
3つのライフパスから始まる物語
ゲーム開始時には、以下の3つの「ライフパス」からVの出自を選択します。
- ノーマッド: 街の外の荒野で育ったアウトロー。家族や仲間との絆を重んじる。
- ストリートキッド: ナイトシティの裏社会で育った生粋の都会っ子。ストリートの掟に詳しい。
- コーポ: 巨大企業アラサカのエージェント。エリートとしての知識と狡猾さを持つ。
選んだライフパスによって、序盤のストーリーや会話の選択肢が変化し、没入感を高めてくれます。 どのライフパスを選んでもメインストーリーの根幹は変わりませんが、周回プレイで異なる視点から物語を楽しむのも一興です。
無限の組み合わせが可能なキャラクターカスタマイズ
外見のカスタマイズはもちろん、戦闘スタイルもプレイヤー次第で大きく変化します。 「サイバーウェア」と呼ばれる身体改造パーツを全身に埋め込むことで、超人的な能力を発揮できます。
- 腕にマンティス・ブレードを仕込み、敵を切り刻む近接特化型。
- スマートウェポンを手に、壁の裏に隠れた敵をも自動追尾で撃ち抜く射撃の名手。
- 敵の脳をハッキングして同士討ちさせたり、監視カメラを操って情報を抜いたりと、一切姿を見せずに目的を遂行するネットランナー。
これらの能力はスキルツリーでさらに強化でき、組み合わせはまさに無限大。 アップデート2.0でスキルシステムが一新され、より直感的で多様なビルド構築が可能になりました。 スイッチ2版は、この最新のシステムが最初から適用されています。
高品質な日本語フルローカライズ
本作は膨大なテキスト量を誇りますが、そのすべてが豪華声優陣による日本語音声に吹き替えられています。 メインキャラクターから街を歩くモブキャラクターの一言まで、そのローカライズの質は驚異的です。 スラングが飛び交うナイトシティの雰囲気を完璧に再現しており、字幕を追うことなく物語に深く没入できます。
スイッチ2版「サイバーパンク2077」の良い点(メリット)
さて、ここからが本題です。 PS5や高性能なPCでプレイするのが当たり前だったこのタイトルを、あえてスイッチ2でプレイするメリットはどこにあるのでしょうか。 私が実際にプレイして感じた「良い点」を詳しく解説します。

いつでもどこでもナイトシティへ!携帯モードの圧倒的な快適性
スイッチ2版最大のメリットは、何と言っても「携帯性」に尽きます。 あの緻密に作り込まれたナイトシティを、ベッドで寝転がりながら、あるいは外出先のカフェで、場所を選ばずに探索できる体験は格別です。
驚くほど静かで熱を持たない
特筆すべきは、携帯モードでプレイしている際の静音性と排熱性能です。 「サイバーパンク2077」は非常に負荷の高いゲームですが、スイッチ2本体は驚くほど静かで、長時間プレイしてもほんのり温かくなる程度。 他の携帯ゲーミングPCではファンが轟音を立て、本体がカイロのように熱くなることも珍しくない中、この快適性はスイッチ2版の独壇場と言えるでしょう。 この最適化には、開発陣の並々ならぬ努力が感じられます。
スイッチ2ならではの独自操作が熱い!
スイッチ2版は、単なる移植に留まらない独自の操作方法に対応しており、これが新たなプレイフィールを生み出しています。
ジャイロ操作による直感的なエイム
ProコントローラーやJoy-Conのジャイロ機能を使ったエイムに対応しています。 これにより、スティックでの大まかな照準と、ジャイロでの微調整を組み合わせた、直感的で素早い射撃が可能になります。 特にヘッドショットを狙う場面では、マウス操作に近い精度を発揮することもあり、コントローラーでのシューターが苦手な方にはぜひ試してほしい機能です。
Joy-Conがマウスに変わる?
設定で有効にすれば、Joy-Conをポインターのように使って視点操作ができます。 少し慣れは必要ですが、瞬時に真後ろを振り向くといった、スティック操作では難しい動きも可能になります。 ただ、Joy-Con単体だと薄くて持ちにくいため、長時間プレイするなら厚みを増すアタッチメントの利用をおすすめします。
これ1本で全部入り!「アルティメットエディション」
スイッチ2版は、ゲーム本編に加えて、大型拡張パック「仮初めの自由」や、これまでに配信された全ての無料アップデートが最初から収録された「アルティメットエディション」となっています。
追加ストーリー「仮初めの自由」も楽しめる
「仮初めの自由」は、新合衆国大統領の救出任務をきっかけに、スパイや陰謀が渦巻く危険地帯「ドッグタウン」へと足を踏み入れる、スリリングなスパイスリラー調の追加ストーリーです。 本編とは一味違う重厚な物語と、イドリス・エルバが演じる新キャラクター「リード」の活躍は必見。 これが追加購入なしで楽しめるのは非常にお得です。
アップデート2.1までの全要素を網羅
発売当初は多くの問題を抱えていた本作ですが、度重なるアップデートで評価を一変させました。 スイッチ2版には、スキルシステムや警察システムを刷新した「アップデート2.0」や、待望の地下鉄システム「NCART」を追加した「アップデート2.1」など、ゲームを根本から進化させた全ての要素が含まれています。 つまり、現在最も完成された状態の「サイバーパンク2077」を、買ったその日から体験できるのです。
クロスプログレッションでプレイスタイルが無限大に
本作は「クロスプログレッション(クロスセーブ)」に対応しており、異なるプラットフォーム間でセーブデータを共有できます。 (※PC版と家庭用ゲーム機間での共有はできません)
家ではPS5、外ではスイッチ2
例えば、普段はPS5の大画面・高画質でじっくりメインストーリーを進め、外出先ではスイッチ2の携帯モードでサブクエストを消化する、といった遊び方が可能になります。 セーブデータの共有にはCD PROJEKT REDのアカウントが必要ですが、設定は非常に簡単。 実際にPS5とスイッチ2で試してみましたが、クラウド経由での同期は非常にスムーズでした。
すでに他機種版を持っているプレイヤーにとっても、スイッチ2版を購入する大きな動機となるでしょう。 ただし、セーブデータを共有するには、両方のプラットフォームでDLC「仮初めの自由」を所有している(またはアルティメットエディションである)必要があります。
スイッチ2版「サイバーパンク2077」の悪い点(デメリット)
もちろん、良い点ばかりではありません。 携帯機でこの大作を動かすための「代償」とも言えるデメリットも存在します。 購入後に後悔しないよう、シビアな視点で解説します。

グラフィックとパフォーマンスの限界
最も大きな違いは、やはりグラフィックとパフォーマンスです。 PS5やハイエンドPCの美麗な映像に慣れていると、見劣りする部分は確実にあります。
フレームレートは可変、場面によってはカクつく
スイッチ2版では、画質を優先する「クオリティモード」と、フレームレートを優先する「パフォーマンスモード」を選択できます。
モード | TVモード | 携帯モード |
---|---|---|
パフォーマンス | フルHD (1080p) / 最大40fps | HD (720p) / 最大40fps |
クオリティ | フルHD (1080p) / 30fps | フルHD (1080p) / 30fps |
パフォーマンスモードでも最大40fpsであり、常時安定しているわけではありません。 特に、人や建物が密集するエリアを高速で車で移動したり、DLCの舞台である「ドッグタウン」を探索したりすると、フレームレートが落ち込み、画面がカクつく場面がありました。 ただ、主要なクエスト中の戦闘シーンなどは比較的スムーズに動作するように最適化されており、プレイに支障をきたすほどのストレスは感じませんでした。
解像度は可変で、ややぼやけた印象も
画質は「可変解像度」が採用されており、処理が重い場面では解像度が自動的に下がります。 そのため、屋外や街中では全体的に少しぼやけた印象を受けることがあります。 一方で、イベントシーンや屋内の閉鎖された空間など、負荷の低い場面では驚くほどシャープで美しい映像になることも。 携帯モードの小さい画面であれば粗さはあまり気になりませんが、大画面のテレビでプレイすると、物足りなさを感じるかもしれません。
長く感じるロード時間
次に気になるのがロード時間です。 特にゲームオーバーになってリトライする際や、セーブデータをロードする際には、毎回30秒近く待たされることがありました。 ファストトラベルも10秒から20秒程度かかります。 一度のロードは我慢できても、高難易度のボス戦などで何度もゲームオーバーを繰り返すと、この待ち時間はじわじわとストレスに繋がります。 少しでもロード時間を短縮したい場合は、ゲームカードからではなく、高速なmicroSDカードや本体ストレージにゲームをインストールすることをおすすめします。
バッテリーは2時間持たないことも
携帯モードでプレイする場合、バッテリーの持続時間も気になるところ。 パフォーマンスモードでプレイした場合、満充電の状態から約2時間でバッテリーが切れてしまいました。 これは、他の携帯ゲーミングPCで同等のゲームを動かした場合と比較しても、決して長いとは言えません。 外出先でじっくりプレイしたいのであれば、大容量のモバイルバッテリーは必須アイテムとなるでしょう。
PS5版・Steam版との徹底比較
では、スイッチ2版は他のプラットフォームと比較して、具体的に何が違うのでしょうか。 それぞれの特徴をまとめ、あなたがどのプラットフォームを選ぶべきかの指針を示します。
スペックとグラフィックの比較
まずは、最も分かりやすいスペックの違いを表で見てみましょう。
項目 | スイッチ2版 | PS5版 | Steam版 (PC) |
---|---|---|---|
最大解像度 | 1080p (フルHD) | 2160p (4K) | 4K以上 |
最大フレームレート | 40fps (可変) | 60fps | 60fps以上 (上限なし) |
レイトレーシング | 非対応 | 対応 (RTオーバードライブ) | 対応 (RTオーバードライブ) |
通行人の密度 | 少ない | 多い | 非常に多い |
ロード時間 | 長い | 短い | 非常に短い (SSD依存) |
携帯モード | ◎ (可能) | ✖ (リモートプレイのみ) | △ (携帯ゲーミングPC) |
映像美を求めるならPS5かSteam版
表を見れば明らかなように、最高のグラフィック体験を求めるならPS5版かSteam版が最適です。 特に、光の反射や影をリアルに描画する「レイトレーシング」に対応している点は大きな違いです。 ナイトシティのネオンの輝きや、雨に濡れた路面の反射など、圧倒的な映像美は、このゲームの世界への没入感を極限まで高めてくれます。
Steam版の特権「MOD」
Steam版(PC版)には、他のプラットフォームにはない最大の利点があります。 それは、ユーザーが作成した「MOD」を導入できることです。 新しい乗り物や衣服を追加するものから、ゲームシステムを根本的に変えるものまで、世界中のユーザーが作成した無数のMODによって、遊び方は無限に広がります。 自分だけのナイトシティを創造したいのであれば、Steam版一択と言えるでしょう。
あなたへのおすすめプラットフォームは?
- スイッチ2版がおすすめな人
- 場所を選ばず、手軽に「サイバーパンク2077」を遊びたい人。
- ジャイロ操作など、独自の操作方法を試してみたい人。
- すでにPS5/Xbox版を持っていて、外出先でもプレイしたい人。
- グラフィックよりも快適な携帯プレイを重視する人。
- PS5版がおすすめな人
- 大画面テレビで、安定した高画質・高フレームレートで遊びたい人。
- 美麗なグラフィックでナイトシティの世界に没入したい人。
- 複雑な設定なしで、手軽に最高のコンソール体験をしたい人。
- Steam版がおすすめな人
- 最高のグラフィックとパフォーマンスを追求したい人。
- MODを導入して、ゲームを自分好みにカスタマイズしたい人。
- マウス&キーボードでの本格的なFPSプレイをしたい人。
スイッチ2版をさらに快適に!おすすめ設定と周辺機器
スイッチ2版のパフォーマンスには限界があるものの、設定や周辺機器を工夫することで、プレイ体験を大きく向上させることができます。 ここでは、私のおすすめ設定と、ぜひ揃えたい周辺機器をご紹介します。
まずは見直したい!ゲーム内おすすめ設定
- グラフィックモードは「パフォーマンス」を推奨 クオリティモードも選択できますが、アクションシーンでの快適性を考えると、フレームレートを優先する「パフォーマンスモード」が断然おすすめです。
- フィルムグレイン、色収差、モーションブラーはオフに これらの項目は映像に特定の効果を加えるものですが、オフにすることで画面がスッキリと見やすくなり、パフォーマンスの向上にも僅かに貢献します。
- カメラの感度を調整する 初期設定では少し感度が低いと感じるかもしれません。自分に合った感度に調整することで、エイムや視点移動が格段にスムーズになります。
- エイムアシストを活用する コントローラーでの操作に慣れていない方は、「エイムアシスト」を強めに設定しましょう。敵に照準が合いやすくなり、戦闘の難易度が下がります。
これで没入感アップ!おすすめ周辺機器
Nintendo Switch Proコントローラー
長時間のプレイを考えるなら、Proコントローラーは必須と言っても過言ではありません。 Joy-Conに比べてグリップ感が良く、ボタンやスティックの操作性も格段に向上します。 ジャイロ操作の精度も安定するため、快適なプレイには欠かせないアイテムです。
ゲーミングマウス
より精密なエイムを求めるなら、マウスの導入を検討しましょう。 スイッチ2はドックのUSBポートにマウスを接続することで、PCゲームのような操作が可能になります。 特にFPS/TPSが得意な方にとっては、戦闘の快適性が劇的に変わるはずです。 移動は左手のコントローラー、エイムは右手のマウスという組み合わせも可能です。
ゲーミングキーボード
マウスと合わせてキーボードも接続すれば、完全にPC版と同じ操作環境を再現できます。 スキルの割り当てなどを細かくカスタマイズしたいこだわり派のプレイヤーにおすすめです。
モバイルバッテリー
前述の通り、携帯モードでのプレイ時間は約2時間と短めです。 コンセントのない場所でプレイする機会が多い方は、最低でも10000mAh以上の容量があり、Power Deliveryに対応したモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。
まとめ
今回は、スイッチ2版「サイバーパンク2077」について、様々な角度から徹底的にレビューしました。
確かに、PS5版やSteam版と比較すると、グラフィックやパフォーマンス面で見劣りする部分はあります。 しかし、あの広大なナイトシティの全てを、DLCや最新アップデートを含んだ完全な形で、いつでもどこでも楽しめるという価値は、何物にも代えがたいものがあります。
何より、携帯機でありながら驚くほど静かで熱を持たないという快適性は、他のどのプラットフォームにもない大きな魅力です。 処理落ちなどの妥協点も、携帯機で遊べるというメリットの前では許容範囲内だと、私は感じました。
- 最高の映像体験を求めるならPS5版、あるいはSteam版。
- 場所を選ばない手軽さと、携帯機としての快適性を求めるならスイッチ2版。
あなたがどちらのプレイスタイルを望むかで、最適な選択は変わってきます。 このレビューが、あなたのナイトシティへの第一歩を後押しできれば幸いです。